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LM380 1Wアンプ その4 [LM380]

それでは、アンプの作り方です。
まず、外観から。いかにも手抜きのフロントパネルです。
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3段になってる真ん中のがLM380アンプです。上はUSBインターフェイス、下はAM/FMチューナーです。このシステムで仕事中にデスクトップで音楽を聴いています。

リヤパネルです。
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スピーカーアウトのコネクターはRCAジャックです。昔のホームステレオ等にもよく使われていました。1Wくらいのアンプには丁度良いです。それから、59年ベースマンのスピーカーアウトもこれが使われています。

使う基板は、タカスのIC-301-74です。非常に安価な基板で、もう何十年も仕事の試作や自作品で使っています。ラジオデパート3階の門田無線で売っています。
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組み立てた基板の全体像です。これを見て、どうでしょう?驚いた?それとも普通。
部品はハンダ面に乗せて、回路はハンダ面だけを使って組み立てます。写真裏側の面は使いません。基板には部品を挿入する孔が開いていますが、この孔は使いません。部品の足は裏側に出ないように切っています。写真ではよく見えませんが、パワーアンプから電源に帰るグラウンド配線は5mm幅の銅箔テープで補強しています。
このようなユニバーサル基板の使い方は決して無茶苦茶な作り方ではありません。ごく真面目な作り方です。アマチュアとプロを問わず、まじめな技術者が昔からやってきた作り方です。産業界でも何十年の昔から、多くの会社の試作品や研究用基板で採用されてきました。また、アマチュア無線の世界ではこのやり方に特化したFCZ基板という孔の開いていない基板がありました。このやり方には次のようなメリットがあります。
1、早く作れる。
表に部品を載せ、裏で配線をする、こんなめんどくさい事をしていたのでは、試作品や大きな回路ではいくら時間があっても足りません。
2、確認が楽
電子回路を作るの時に、確認は大事です。始めて設計して、始めて作る回路では、設計どおりに作れたか、どこか間違っていないか、等確認することが大事です。と言うか、必要事項です。
基板の表と裏を使うやり方では確認にどえらい時間が掛かります。基板をシャシにネジ留めしてしまったら、もうお手上げです。このハンダ面だけを使うやり方では、たとえ基板をネジ留めした後でも、上から見れば簡単に回路を確認できます。
3、間違いの修正や、こまかい調整や新しい要求で変更するのが楽
 間違いは必ず発生します。回路が上から丸見えなので、測定器を当てるのも簡単です。間違いの修正も楽にできます。抵抗やコンデンサの値を変えるのも簡単です。
またオリジナル作品は、一度作って動作を見てから、さらに改良したい考えが出てきます。こんな時でも、簡単に変更して、結果が確認できます。私の経験でも、数個のオペアンプを撤去して作り直した事くらいならたびたびありました。
4、まあまあの信頼性がある
 なにしろ普通でない方法なので強度が心配ですが、個人的な使用なら問題ありません。ただし、達人ほどでなくても、一人前のハンダ付けの技術は必要です。
 昔、この方法で作られた大きな基板を入れた試作品が、飛行機に乗って米国のショーに出品されて戻って来た、実績が有ります。まあ、これを売り物にはできませんが、個人で使うアンプぐらいなら十分使えます。多少のことでは壊れません。

ご注意 ただし、AC100Vが通過する電源回路では、ちゃんとした作法で作らねばなりません。1次電源回路はちゃんと安全規格に適合した作り方が必須です。








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LM380 1Wアンプ その2 [LM380]

回路の説明
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回路図の上で左クリックすると大きな図面を見られます。大きすぎたら、もう一回左クリックで丁度良く縮小します。

 入力は、RCAジャックと3.5ミリフォーンジャックとの2チャンネルをスイッチで切り替えています。RCAジャックは、リヤパネルに取り付けてオーディオ・インターフェースからの信号用です。3.5ミリフォーンジャックは、フロントパネルに取り付けて、ICレコーダー等のアナログ信号用です。
 ボリウムコントロールは2連ポット50KAです。バランス調整は省略しました。まあ、無くても不自由は感じません。
 プリアンプはNE5532です。トーンコントロールの前段アンプとなります。インピーダンス変換と12dBの増幅をしています。
 トーンコントロールはCR型です。この方式は昔からローコスト製品に多用されたために、NFB型よりも1段格下に扱われてきました。プリアンプが1段ですむので、特に真空管の時代では製品コストが安くなりました。性能は、まあまあです。教科書のとおりに作っても満足いかないかもしれませんが、ちょっと工夫すればいい感じになります。
 最近はいつもトーンコントロールやEQ等の設計には回路シミュレーターを使っています。シミュレーターを使うと昔から伝わる何種類かのトーンコントロール回路の実際がすぐに分かります。おかげで、今までに作ったトーンコントロールの音が悪かったのが理解できました。おまけですが、NFB型も意外とがっかりします。と言うわけで、今回はこのアンプにつながるスピーカーの特性を考えて、(まあ半ば当てずっぽうでもあります)シミュレーターと試聴を繰り返して設計したのがこの回路です。
 NE5532の前段アンプの出力から2.2Kの抵抗を通してトーン回路へ至ります。この抵抗は必要です。CR型トーンコントロールは前段の出力抵抗が0オームではセンターでフラットになりません。回路の定数によってある程度の抵抗が必要です。このトーン回路では、前段の出力抵抗を2.2K、後段の入力抵抗を約54Kとしています。
 このトーンコントロールの影響でLM380の入力部は2個の抵抗を使っています。27Kと33Kの抵抗を使って、トーンコントロール側から見た抵抗は54Kになりますが、実はその他にLM380の入力2ピンの対グランド直流抵抗を下げる目的があります。本当はLM380の入力ピンから見た前段の抵抗が、出力のオフセットを押さえるため、10Kオーム以下が理想的なのですが、約20K前後になっています。まあ、いいや。Oh Well !
 パワーアンプの出力は、ヘッドホンジャックを経由してスピーカーアウト(RCAジャック)に至ります。スピーカーアウトはターミナルにしたい所ですが、簡単にRCAジャックにしました。昔の小型アンプや家庭用のオーディオセットによく使われていました。
 電源は2.1mmDCジャックから入力されてダイオード2個による保護回路を通ります。D1は40V3Aのショットキーダイオードで、D2は普通の100V1Aシリコンダイオードです。ショットキーダイオードは、電流が通過する際の電圧低下が小さくてすむので、電源電圧の損失をなるべく小さくしたい今回の小型アンプには最適です。しかしその反面、逆電圧を掛けた時の漏れ電流が大きく、そのため間違って逆極性のACアダプターを接続された時に内部回路に無視できない逆電圧が掛かり半導体などを損傷する恐れがあります。電源回路やアンプに使用される電解コンデンサは低い電圧でも逆接続はダメージを受けます。
 D2はこの問題を解決します。D2の働きで、逆電圧が掛かった時に内部回路に掛かる電圧は最大でも0.5V程度になり、回路は保護されます。 この保護回路は、私の発明ではありません。最近のACアダプタを使用する機器に多く採用されています。
 リップルフィルターの電解コンデンサは470uF16Vです。普通のトランス式電源のアンプですともっと大きな容量を使うのが一般的ですが、ACアダプターの都合であまり大きなコンデンサは使えません。また、ACアダプターも性能が良いので、たぶん100uFくらいでも大丈夫だったかと思います。これも、まあ気持ちの問題でこの値にしました。
つづく





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LM380 1Wアンプ その3 [LM380]

LM380について
 最近LM380のアンプを自作されている方がこんなに多いとは、知りませんでした。こんなちっぽけな石がそんなに人気があるなんて、ネットを見て始めて分かりました。とっくに時代おくれの代物と思っておりました。
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 さてLM380ですが、このアンプでは図2Bのような回路となっています。実は作り始めた時は、図2Aのような回路でした。これはLM380のデーターシートの回路そのままで、はじめは気楽にデーターシートを信用して短時間でアンプを組上げました。ところがいざ使ってみると問題が出ました。
問題その1
 これは私の失敗ですが、IC出力の直流電位が電源電圧の1/2ではなくオフセットが大きく出てしまいました。後から分かったのは、1ピンの電解コンデンサの不良で微弱な直流漏れがあり、それによってバイアスが崩れてしまいました。実は、けちをして、ジャンク箱に有った部品を使っていたのが原因です。たぶん色々実験にこき使われてへそを曲げていたコンデンサを取っておいたので、これを使っちゃったのでした。たぶん何かの時に逆電圧を掛けたのだろうと思います。この電解コンデンサを新品に交換して解決。
 この1ピンの箇所は入力の差動アンプのバイアスに関係する微妙な場所です。このコンデンサは新品を使いましょう。、、、、、はずかしい。また10uFより大きい値を使うのは考え物です。100uFくらいの電解コンデンサでは影響が出るかもしれません。それから、電源電圧に対して、過大な耐電圧も禁物です。このアンプの例では、電源12Vで、電解コンデンサは16Vを使用しています。
問題その2、
 こうしてしばらく音楽を聴いていました。まあ一応音は出る。トーンコントロールを使えば低音も出るし高音も出るような気がする。でも何だか安っぽい。LM380だからこんなもんか。後述しますが、使ってるスピーカーも実にいい加減な代物だし。実は本当にいい加減なスピーカーですが、高級ラジカセくらいの音は出ます。
 後日、アメリカ産の回路図を眺めておりましたところ、どうも奴らはLM380をデーターシートとは違う使い方をしている事が分かりました。それも40年も昔から。LM380を、LM386のデーターシートと同じ使い方をしています。それが図2Cです。少し調べるとメーカー製機器で3機種、雑誌の記事で1例ありました。
 図2A、LM380の推奨回路では、入力2ピンはコンデンサにより直流をカットしています。また反転入力の6ピンは何も接続されずに浮いています。図2C、LM386では、入力の3ピンは可変抵抗に直に接続して、直流的には可変抵抗を介してグランドに接続されます。反転入力2ピンは、グランドに落ちています。
 このLM380とLM386の違いは、日本ではこの二つのICは似ているけど別物だから、LM380はLM386のように入力ピンをグランドに直結することはできない、と解釈されてきたように思います。しかし考えて見ると、LM380の入力ピンの片方をグランドへショートしても、入力バイアス電流は0.1uAで、バイアス抵抗は150Kだから、入力で15mVDCのオフセットが発生して、ゲインが50だから出力では750mvDCのオフセットになるはずです。  750mVのオフセットは大した物ですが、でも入力ピンに小さい抵抗を並列に付けてあげればオフセットは小さくなります。10KΩくらいなら、実用上問題は無いレベルになります。であるから、結果としてアメリカのエンジニアはLM380でも躊躇なくLM386と同じように入力ピンを直流的にグランドに接続して使ったのでした。えらい。
問題その3、
 以前ずっと昔の事です。実験でLM380で図2Aの回路を使い、すぐ近くに負電源を作るチャージポンプを配置したところ、LM380アンプは見事にチャージポンプのクロックを増幅してくれました。台無しです。当たり前の結果ですが、使っていない(インピーダンス150Kオームの)入力ピンを浮かしておくことは、回路を密集させる実際の機器の中ではこれくらい危険です。この時以来、しばらくLM380を使う気がしませんでした。でも、本当はレイアウトがもっと悪かったんだけどね。
 という訳で、2ピンの非反転入力は小さい抵抗でシャントするはずでしたが、実際は図2Bの回路を採用しました。これは前段のトーンコントロールの負荷が50Kオームで設計していたので、必要な抵抗値を得るためにやむを得ずこのようになりました。27Kと33Kを組み合わせて、LM380から見た抵抗値は周波数やポットの角度で変わりますが、直流では約20Kくらいに、交流ではもう少し小さくなると思います。まあ、このくらいでもいいや。
問題その4
 これで音楽を聴くと、おーすごい、いい音です。と、思ったら、また問題。手の掛かる子だ! ピアノの音が変。ロックバンドがわーっつと鳴っている時は分からなかったのですが、クラシックのピアノを鳴らすと、ある音域で歪む。音量は中くらいでも発生する。オーバードライブではない。まあ、でもねこんなアンプでピアノを聞くのもどうかと思うけど。
 この原因は、出力配線の引き回しでありました。ヘッドホンからスピーカー端子に至る線を横着してICの真上を跨いでいて、入力ピンに近い所を通っていました。配線とICの間は10mmくらいあります。でも、これがダメでした。トーンコントロールのコンデンサも近くにありました。基本をなめていると痛い目に合います。1Wの出力はピークで4Vになります。10dB下でも1,3Vくらいになります。周波数が高くなれば入力へ回り込みも出ます。まずいことに今回は入力と出力の位相も同じです。今回は、出力の線を長くして基板から離して配置します。これで問題は無くなりました。と文字で説明しても分からないので、後日作り方の説明で写真を載せましょう。
 本当は、トーンコントロールの設計をしなおして、インピーダンスを1/5にして、ポットも10Kにして、LM380の入力部の抵抗値も1/5にすれば、もっと動作も安定します。でも、現状でもまあまあのレベルになったので、まあいいか。
 これで、本当に良い音になりました。今度は、まともなスピーカーを作ろう。でもやっぱり、5Wくらいあるといいなあ。スピーカーの次は5Wアンプか。
その他
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 片電源のアンプは、アース配線の引き回しが重要です。図3の中で、AのグループとBのグループは混ざらないように別々の場所にレイアウトします。また、Bのグループからスピーカー、電源に至る配線は太くします。実際の作り方は、後日説明します。
つづく

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LM380 1Wアンプ その1 [LM380]

 まず小さなアンプからスタートです。私は普段PCを使っている時に、オーディオ・インターフェースを使ってインターネットラジオで音楽を聴いています。机の上に置いて音楽を聴くのに1W+1Wというのは丁度いいです。
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回路図の上で左クリックすると大きな回路図を見られます。大きすぎたら、部面の上でもう一度クリックすると丁度良く縮小します。

 パワーアンプにはLM380、プリアンプはNE5532を使います。
 LM380は1975年にはもうこの世に有ったほどの古いICですが、外付け部品が少なく、ヒートシンクも要らない、安い、簡単にそれなりの性能の小さいパワーアンプを構成できる、現代でも有用なICです。ただし、高級品ではありません。高性能を追求される方には向きません。元々ラジオ用の石です。
 しかし、このラジオ用の石も電源や配線に注意して、なおかつ安くても良いスピーカーを使えば、けっこう良い音で鳴ります。これはソリッドステート・アンプとしては当たり前の事かもしれません。ある意味では(乱暴ですが)LM380もディスクリートの100Wアンプもほぼ同じような物です。超ロングセラーですが、残念なことに生産終了となるようです。
 実は、私は20年ほど前にこのICを買ったのですが、そのままずっと部品箱にしまっていました。今回1Wアンプが欲しいなと思い、やっと日の目をみたのでありました。いざ使ってみると、少し問題も有りましたが、最後にはだいたいイメージどおりのアンプができました。使い方が分かるとなかなかいいICです。気に入ったので、また新たに少し買っておきました。秋月で120円です。
 電源にはACアダプターを使います。もちろん電源トランスを使ってちゃんとした電源回路?を使うこともできますが、1Wアンプごときに電源を作るのもめんどうさい。また、1Wアンプとは言え、電源トランスはそれほど小さくはなりません。今回考える小型アンプには邪魔なサイズです。
 そこで、ACアダプターです。最近のACアダプターはAC/DCコンバータが使われており、小型で値段も安くなりました。一昔前までは電源に乗るノイズが多かったものもありましたが、今はとても良くなりました。注意点としては、アンプで消費する電流がアダプターの最大電流値を、絶対に超えない範囲で使います。もし最大電流値を一瞬でも超えると動かない、と某お店の注意書きにありました。
 このアンプでは、8Ω負荷で1W+1Wなので、大きな音を出した瞬間に電源は2チャンネル合計で1Aのピーク電流が流れる、ということになります。その時に最大電流を超えないよう、ACアダプターは余裕を見て12V2Aを使います。実際のところ2Aは必要ないかもしれませんが、まあ値段も1Aとそう変わらないし、気分も良いので2Aを使います。
つづく

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