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LM380 1Wアンプ その3 [LM380]

LM380について
 最近LM380のアンプを自作されている方がこんなに多いとは、知りませんでした。こんなちっぽけな石がそんなに人気があるなんて、ネットを見て始めて分かりました。とっくに時代おくれの代物と思っておりました。
amp-lm380-7b03.png

 さてLM380ですが、このアンプでは図2Bのような回路となっています。実は作り始めた時は、図2Aのような回路でした。これはLM380のデーターシートの回路そのままで、はじめは気楽にデーターシートを信用して短時間でアンプを組上げました。ところがいざ使ってみると問題が出ました。
問題その1
 これは私の失敗ですが、IC出力の直流電位が電源電圧の1/2ではなくオフセットが大きく出てしまいました。後から分かったのは、1ピンの電解コンデンサの不良で微弱な直流漏れがあり、それによってバイアスが崩れてしまいました。実は、けちをして、ジャンク箱に有った部品を使っていたのが原因です。たぶん色々実験にこき使われてへそを曲げていたコンデンサを取っておいたので、これを使っちゃったのでした。たぶん何かの時に逆電圧を掛けたのだろうと思います。この電解コンデンサを新品に交換して解決。
 この1ピンの箇所は入力の差動アンプのバイアスに関係する微妙な場所です。このコンデンサは新品を使いましょう。、、、、、はずかしい。また10uFより大きい値を使うのは考え物です。100uFくらいの電解コンデンサでは影響が出るかもしれません。それから、電源電圧に対して、過大な耐電圧も禁物です。このアンプの例では、電源12Vで、電解コンデンサは16Vを使用しています。
問題その2、
 こうしてしばらく音楽を聴いていました。まあ一応音は出る。トーンコントロールを使えば低音も出るし高音も出るような気がする。でも何だか安っぽい。LM380だからこんなもんか。後述しますが、使ってるスピーカーも実にいい加減な代物だし。実は本当にいい加減なスピーカーですが、高級ラジカセくらいの音は出ます。
 後日、アメリカ産の回路図を眺めておりましたところ、どうも奴らはLM380をデーターシートとは違う使い方をしている事が分かりました。それも40年も昔から。LM380を、LM386のデーターシートと同じ使い方をしています。それが図2Cです。少し調べるとメーカー製機器で3機種、雑誌の記事で1例ありました。
 図2A、LM380の推奨回路では、入力2ピンはコンデンサにより直流をカットしています。また反転入力の6ピンは何も接続されずに浮いています。図2C、LM386では、入力の3ピンは可変抵抗に直に接続して、直流的には可変抵抗を介してグランドに接続されます。反転入力2ピンは、グランドに落ちています。
 このLM380とLM386の違いは、日本ではこの二つのICは似ているけど別物だから、LM380はLM386のように入力ピンをグランドに直結することはできない、と解釈されてきたように思います。しかし考えて見ると、LM380の入力ピンの片方をグランドへショートしても、入力バイアス電流は0.1uAで、バイアス抵抗は150Kだから、入力で15mVDCのオフセットが発生して、ゲインが50だから出力では750mvDCのオフセットになるはずです。  750mVのオフセットは大した物ですが、でも入力ピンに小さい抵抗を並列に付けてあげればオフセットは小さくなります。10KΩくらいなら、実用上問題は無いレベルになります。であるから、結果としてアメリカのエンジニアはLM380でも躊躇なくLM386と同じように入力ピンを直流的にグランドに接続して使ったのでした。えらい。
問題その3、
 以前ずっと昔の事です。実験でLM380で図2Aの回路を使い、すぐ近くに負電源を作るチャージポンプを配置したところ、LM380アンプは見事にチャージポンプのクロックを増幅してくれました。台無しです。当たり前の結果ですが、使っていない(インピーダンス150Kオームの)入力ピンを浮かしておくことは、回路を密集させる実際の機器の中ではこれくらい危険です。この時以来、しばらくLM380を使う気がしませんでした。でも、本当はレイアウトがもっと悪かったんだけどね。
 という訳で、2ピンの非反転入力は小さい抵抗でシャントするはずでしたが、実際は図2Bの回路を採用しました。これは前段のトーンコントロールの負荷が50Kオームで設計していたので、必要な抵抗値を得るためにやむを得ずこのようになりました。27Kと33Kを組み合わせて、LM380から見た抵抗値は周波数やポットの角度で変わりますが、直流では約20Kくらいに、交流ではもう少し小さくなると思います。まあ、このくらいでもいいや。
問題その4
 これで音楽を聴くと、おーすごい、いい音です。と、思ったら、また問題。手の掛かる子だ! ピアノの音が変。ロックバンドがわーっつと鳴っている時は分からなかったのですが、クラシックのピアノを鳴らすと、ある音域で歪む。音量は中くらいでも発生する。オーバードライブではない。まあ、でもねこんなアンプでピアノを聞くのもどうかと思うけど。
 この原因は、出力配線の引き回しでありました。ヘッドホンからスピーカー端子に至る線を横着してICの真上を跨いでいて、入力ピンに近い所を通っていました。配線とICの間は10mmくらいあります。でも、これがダメでした。トーンコントロールのコンデンサも近くにありました。基本をなめていると痛い目に合います。1Wの出力はピークで4Vになります。10dB下でも1,3Vくらいになります。周波数が高くなれば入力へ回り込みも出ます。まずいことに今回は入力と出力の位相も同じです。今回は、出力の線を長くして基板から離して配置します。これで問題は無くなりました。と文字で説明しても分からないので、後日作り方の説明で写真を載せましょう。
 本当は、トーンコントロールの設計をしなおして、インピーダンスを1/5にして、ポットも10Kにして、LM380の入力部の抵抗値も1/5にすれば、もっと動作も安定します。でも、現状でもまあまあのレベルになったので、まあいいか。
 これで、本当に良い音になりました。今度は、まともなスピーカーを作ろう。でもやっぱり、5Wくらいあるといいなあ。スピーカーの次は5Wアンプか。
その他
amp-lm380-7b03b.png

 片電源のアンプは、アース配線の引き回しが重要です。図3の中で、AのグループとBのグループは混ざらないように別々の場所にレイアウトします。また、Bのグループからスピーカー、電源に至る配線は太くします。実際の作り方は、後日説明します。
つづく

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